怪盗シネマ

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【ネタバレ感想】映画「ターミネーター:ニュー・フェイト」過去作の呪縛に向き合った結果は?

引用元:https://www.imdb.com/ 『ターミネーター:ニュー・フェイト』(『Terminator: Dark Fate』) 2019年、アメリカ。 監督:ティム・ミラー 脚本:デヴィット・S・ゴイヤー、ビリー・レイ、ジャスティン・ロードス 原作:ジェームズ・キャメロン他 製作…

【ネタバレ感想】小説「ゴーストハント2 人形の檻」小野不由美ホラーの原型を目撃する傑作

『ゴーストハント2 人形の檻』 著者:小野不由美 角川文庫 以下、シリーズ1巻と2巻のネタバレが含まれる内容ですのでご注意ください。 小野不由美のオカルトミステリーシリーズ「ゴーストハント」の第2巻。前巻では高校の旧校舎をめぐる不可思議な現象を…

【ネタバレ感想】映画『怪談』格調高い映像美で立ち上がる小泉八雲の「異界」

(c)1965 東宝 『怪談』(1965年、日本) 監督:小林正樹 音楽:武満徹 美術:戸田重昌 小泉八雲「怪談」を原作に、「黒髪」「雪女」「耳なし芳一の話」「茶碗の中」の4つの怪異譚からなるオムニバス作品。 特に「雪女」「耳なし芳一」は日本人なら誰もが知る…

【ネタバレ感想】ゲーム『The Last of Us part Ⅱ』〇〇〇編はなぜ必要だったか?

『The Last of Us part Ⅱ』(2020年、アメリカ) 以下、ネタバレ厳禁とされている本作をネタバレ全開で語ります。プレイを終えた方に向けた記事ですので、プレイ中の方、プレイ予定の方は引き返していただいたほうが無難です。↓画像下からはじめます。 引用…

【ネタバレ感想】映画『ハドソン川の奇跡』男の判断は奇跡か無謀か

引用元:https://wwws.warnerbros.co.jp/hudson-kiseki/ 『ハドソン川の奇跡』(2016年、アメリカ。原題『sully』) 監督:クリント・イーストウッド 主な出演:トム・ハンクス、アーロン・エッカート。 2016年1月15日にアメリカで起きた実際の飛行機不時着…

【ネタバレ感想】映画「キングダム」体のキレで人が死ぬ

(C)原泰久/集英社 (C)2019映画「キングダム」製作委員会 「キングダム」(2019.日本) 初っ端から脱線するが、2006年の平成仮面ライダーシリーズ「仮面ライダーカブト」を見ていた方は、作中に突然前触れもなく現れて、変身もせずに素手でガタックをボコボ…

「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」

「スターウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」(2019) 監督:J.J.エイブラムス(「スーパーエイト」「SWフォースの覚醒」) 脚本:J.J.エイブラムス、クリス・テリオ(「アルゴ」「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生」)共同脚本 製作…

意識が見る永い夢の先/柴田勝家「ヒト夜の永い夢」ネタバレなしレビュー

柴田勝家「ヒト夜の永い夢」(ハヤカワ文庫JA)、2019年。 いわゆる「伊藤計劃以降」と呼ばれ、事実伊藤計劃に影響を受けたと公言する異形の(笑)SF作家柴田勝家の手になる一大伝奇大作。(どの辺が異形かというと、まず柴田勝家であるし、柴田勝家なのに…

最も説得力のある宇宙を描く作家が描く「海」 小川一水「群青神殿」レビュー(ネタバレなし)

小川一水「群青神殿」ハヤカワ文庫JA、2019年。 今年の頭に超大作「天冥の標」全10巻を完結させたSF作家小川一水が、2002年にソノラマ文庫から出したタイトルの復刊。 「小川一水の描く『海』『空』『陸』」という帯で、今作の他にも「疾走!千マイル急…

「最低。」レビュー

© 2017 KADOKAWA 瀬々敬久監督(「ヘブンズストーリー」「ロクヨン」) 出演:森口彩乃 佐々木心音 山田愛奈 高岡早紀 ほか。 人気AV女優でもあったタレント紗倉まなの小説作品「最低。」の映画化。 「AV」と関わりを持つ3人の女性の物語。一人は人気AV女…

【北欧ミステリ】アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム『ボックス21』ネタバレなしレビュー

『ボックス21』アンデシュ・ルースルンド、ベリエ・ヘルストレム 早川書房、2017年。 『熊と踊れ』で「このミス」1位も獲得している実力派アンデシュ・ルースルンドとベリエ・ヘルストレムとの共著である警察小説シリーズ「グレーンス警部」シリーズの2…

冴えカノ♭8話が神回すぎて書かずにいられない/「冴えない彼女の育て方」

©2017 丸戸史明・深崎暮人・KADOKAWA ファンタジア文庫刊/冴えない♭な製作委員会 いわゆる神回である。 テレビの前で萌え悶えたのはいつぶりだろうか。 「冴えない彼女の育て方♭」第8話の話である。 現在BS11深夜0時30分より放映中の「冴えない彼女の育て…

「怪盗グルーの月泥棒」に登場する「悪党銀行」は現実にも存在する!?

映画「怪盗グルーの月泥棒」において、グルーをはじめとして世界中の悪党に資金を融資する「悪党銀行」。グルーはなんとか悪党銀行から「月泥棒」計画のための資金を調達しようとプレゼンに励んでいる。 この「悪党銀行」、入口の扉に「FORMERLY LEHMAN BROT…

「怪盗グルー」「ミニオンズ」ミニオン達のモチーフとして見え隠れするユダヤ教の諸要素

「『怪盗グルー』シリーズの人気キャラクター「ミニオン」のモデルは、実はナチスドイツに収監され人体実験の犠牲となったユダヤ人の子供たちである。」 2015年くらいに、こんな噂がネット上でまことしやかに囁かれた。 根拠として、ミニオンそっくりの…

「アベンジャーズ/エンドゲーム」は悲劇だったのか?

出遅れましたが観てきました、「アベンジャーズ/エンドゲーム」。 観た人たちみんなが口にするように、この作品には史上最大のクロスオーバープロジェクトとなったシリーズ全体を振り返り、懐古と感謝を捧げるような物語となっている。 あくまで架空のキャ…

放置地雷発覚系イヤホラー「ヘレディタリー/継承」

ミスった事案を放置して特大地雷と化し、周囲が騒ぎ出して超気まずくなること、ありますよね。 2018年ナンバー1に挙げる人が多いのもわかる傑作ホラーだった。 怪奇現象そのもので引っ張るのではなく、そのちょっと手前、何かが起こる予感、予兆が画面全体…

「アントマン」

「アントマン」(Ant-Man) 2015年、アメリカ。 ペイトン・リード監督、ポール・ラッド、エヴァンジェリン・リリー、マイケル・ペーニャ、マイケル・ダグラス、コリー・ストール他。 人間はデカいものが好きだ。それはもしかしたらどこまでも小さくなりたい…

「新感染 ファイナルエクスプレス」

(C) 2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved. ヨン・サンホ監督、コン・ユ、マ・ドンソク、キム・ウィソン他。 ゾンビ映画の「お約束」は、ちゃんと丁寧に使えば物語の完成度にしっかり貢献してくれるということを思い出させて…

「gifted/ギフテッド」少女の未来をめぐる答えのない争い

「gifted/ギフテッド」(「gifted」)、2017年、アメリカ。 マーク・ウェブ監督。 クリス・エヴァンス、マッケナ・グレイス、リンゼイ・ダンカン他。 数学の才能に恵まれるも自殺した母親を持ち、自身も数学の圧倒的な才能(ギフテッド)を持つ7歳の少女メア…

息子が誘拐された母親の敵は世間。「ゲティ家の身代金」

「ゲティ家の身代金」(All the Money in the World)、2018年。 リドリー・スコット監督 ミシェル・ウィリアムズ、クリストファー・プラマー、マーク・ウォールバーグ他。 億万長者ジャン・ポール・ゲティの孫息子ポール(ゲティ3世)が誘拐され、身代金1…

ニュータイプの負の歴史を背負った若者たち。「ガンダムNT(ナラティブ)」

「ガンダムNT(ナラティブ)」2018年。 吉沢俊一監督。 ヨナ:榎木淳弥、ミシェル:村中知、リタ:松浦愛弓、ゾルタン:梅原裕一郎。 1988年公開の「逆襲のシャア」のその後から始まる「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」。その中で描かれた「ラプラス事変」…

戦争に閉じ込められた男たち。「フューリー」感想

「フューリー」(「Fury」)2014年。 デビッド・エアー監督。 ブラッド・ピット、ローガン・ラーマン、シャイア・ラブーフ他 第二次大戦末期、ドイツ軍に包囲されながら進軍する連合軍の戦車小隊。彼らの戦闘と人間模様を、凄惨で泥臭い戦闘描写の中で描いて…

「96時間リベンジ」に見るアルバニアの「負の慣習」

「Hulu」で「96時間リベンジ」(原題「TAKEN2」)を見ることができたので、1作目を見て面白かったのに続編を未見だったことを思い出し、さっそく見てみました。 とにかく安定して面白い「ザ・ハリウッドアクション」という感じで、本作でもリーアム・ニー…

今日のマッコール日記。「イコライザー2」ネタバレ感想

アントワーン・フークワ監督、デンゼル・ワシントン主演「イコライザー2」を見てきました。 元CIAの凄腕エージェントで、死を偽装して抜け出し、今は穏やかな日常を送るロバート・マッコールを描くアクション映画のシリーズ第2作。 アメリカのテレビドラマシ…

きっとあなたも机を整理したくなる。「イコライザー」ネタバレあり感想

キャッチコピーは「19秒で悪を裁く」。 続編「イコライザー2」が絶賛公開中の、アントワン・フークア監督、デンゼル・ワシントン主演のアクション映画「イコライザー」を、ようやっと見ました。 ちょうどhuluで配信されていたので。 www.youtube.com まさに…

しばらく釘は見たくない。「クワイエット・プレイス」ネタバレなしレビュー

「音を立てたら、即死。」 実にシンプルでわかりやすく、それでいてかなりの理不尽っぷりを感じるコピーです。 映画「クワイエット・プレイス」は、音に反応する怪物によって滅亡の危機に瀕した世界の片隅でひっそり生存する家族が、いかに沈黙を保ちながら…

ベトナム戦争、新聞、女性。「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」レビュー

1971年、ベトナム戦争への批判が高まるアメリカで全国紙ニューヨークタイムズがスクープした機密文書「マクナマラ文書(ペンタゴンペーパーズ)」。 文書にはベトナム戦争の戦況の詳細な分析が書かれていて、「ベトナム戦争は有利に進んでいる」と喧伝してい…

「プレデター」の新たな可能性を切り開いた!「ザ・プレデター」ネタバレ感想

宇宙船で空を駆け、強者を狩ることに喜びを見出す最強のクリーチャー「プレデター」。 「プレデター」が登場する作品としては通算6作目となる最新作「ザ・プレデター」を観てきました! 「プレデター」シリーズらしい血みどろの残酷描写と、「リーサルウェポ…

日本でアベンジャーズは可能か?日本のクロスオーバー文化を見る

レンタルが始まった「アベンジャーズ/インフィニティウォー」を見て、やっぱり「アイツも出る!こいつもいる!」というオールスター感はたまらなく楽しいと思いまして。 で、やはり考えてしまうのが、「日本でアベンジャーズのような映画は作れないのか?」…

自閉症のダコタがスタートレックの脚本を届ける旅。「500ページの夢の束」ネタバレ感想

ダコタ・ファニングが自閉症の女性を演じる「500ページの夢の束」を見てきました。 あらすじ 自閉症のため人とうまくコミュニケーションができず、日常生活を送るための訓練を受けているウェンディ。 彼女は大のスタートレックマニアであり、スタートレック…