怪盗シネマ

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2019-01-01から1年間の記事一覧

意識が見る永い夢の先/柴田勝家「ヒト夜の永い夢」ネタバレなしレビュー

柴田勝家「ヒト夜の永い夢」(ハヤカワ文庫JA)、2019年。 いわゆる「伊藤計劃以降」と呼ばれ、事実伊藤計劃に影響を受けたと公言する異形の(笑)SF作家柴田勝家の手になる一大伝奇大作。(どの辺が異形かというと、まず柴田勝家であるし、柴田勝家なのに…

最も説得力のある宇宙を描く作家が描く「海」 小川一水「群青神殿」レビュー(ネタバレなし)

小川一水「群青神殿」ハヤカワ文庫JA、2019年。 今年の頭に超大作「天冥の標」全10巻を完結させたSF作家小川一水が、2002年にソノラマ文庫から出したタイトルの復刊。 「小川一水の描く『海』『空』『陸』」という帯で、今作の他にも「疾走!千マイル急…

「最低。」レビュー

© 2017 KADOKAWA 瀬々敬久監督(「ヘブンズストーリー」「ロクヨン」) 出演:森口彩乃 佐々木心音 山田愛奈 高岡早紀 ほか。 人気AV女優でもあったタレント紗倉まなの小説作品「最低。」の映画化。 「AV」と関わりを持つ3人の女性の物語。一人は人気AV女…

【北欧ミステリ】アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム『ボックス21』ネタバレなしレビュー

『ボックス21』アンデシュ・ルースルンド、ベリエ・ヘルストレム 早川書房、2017年。 『熊と踊れ』で「このミス」1位も獲得している実力派アンデシュ・ルースルンドとベリエ・ヘルストレムとの共著である警察小説シリーズ「グレーンス警部」シリーズの2…

冴えカノ♭8話が神回すぎて書かずにいられない/「冴えない彼女の育て方」

©2017 丸戸史明・深崎暮人・KADOKAWA ファンタジア文庫刊/冴えない♭な製作委員会 いわゆる神回である。 テレビの前で萌え悶えたのはいつぶりだろうか。 「冴えない彼女の育て方♭」第8話の話である。 現在BS11深夜0時30分より放映中の「冴えない彼女の育て…

「怪盗グルーの月泥棒」に登場する「悪党銀行」は現実にも存在する!?

映画「怪盗グルーの月泥棒」において、グルーをはじめとして世界中の悪党に資金を融資する「悪党銀行」。グルーはなんとか悪党銀行から「月泥棒」計画のための資金を調達しようとプレゼンに励んでいる。 この「悪党銀行」、入口の扉に「FORMERLY LEHMAN BROT…

「怪盗グルー」「ミニオンズ」ミニオン達のモチーフとして見え隠れするユダヤ教の諸要素

「『怪盗グルー』シリーズの人気キャラクター「ミニオン」のモデルは、実はナチスドイツに収監され人体実験の犠牲となったユダヤ人の子供たちである。」 2015年くらいに、こんな噂がネット上でまことしやかに囁かれた。 根拠として、ミニオンそっくりの…

「アベンジャーズ/エンドゲーム」は悲劇だったのか?

出遅れましたが観てきました、「アベンジャーズ/エンドゲーム」。 観た人たちみんなが口にするように、この作品には史上最大のクロスオーバープロジェクトとなったシリーズ全体を振り返り、懐古と感謝を捧げるような物語となっている。 あくまで架空のキャ…

放置地雷発覚系イヤホラー「ヘレディタリー/継承」

ミスった事案を放置して特大地雷と化し、周囲が騒ぎ出して超気まずくなること、ありますよね。 2018年ナンバー1に挙げる人が多いのもわかる傑作ホラーだった。 怪奇現象そのもので引っ張るのではなく、そのちょっと手前、何かが起こる予感、予兆が画面全体…

「アントマン」

「アントマン」(Ant-Man) 2015年、アメリカ。 ペイトン・リード監督、ポール・ラッド、エヴァンジェリン・リリー、マイケル・ペーニャ、マイケル・ダグラス、コリー・ストール他。 人間はデカいものが好きだ。それはもしかしたらどこまでも小さくなりたい…

「新感染 ファイナルエクスプレス」

(C) 2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved. ヨン・サンホ監督、コン・ユ、マ・ドンソク、キム・ウィソン他。 ゾンビ映画の「お約束」は、ちゃんと丁寧に使えば物語の完成度にしっかり貢献してくれるということを思い出させて…