怪盗シネマ

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「ガーディアンズオブギャラクシー」シリーズをやっと見た

9月5日から「アベンジャーズ/インフィニティウォー」のレンタルが開始されるので、それまでになるべくMCUの見逃しを潰しておこうと思い、とりあえず「ガーディアンズオブギャラクシー」2作を立て続けに観ました。

ちなみに「インフィニティウォー」は劇場で観るつもりだったのに、その前に「ガーディアンズオブギャラクシー」を見とこうとしたら考えることはみんな同じで常にレンタル中。

結局上映期間を逃した愚か者です。

 

食わず嫌いしてたワケ

なんでガーディアンズオブギャラクシーをスルーしてたかといえば、ぶっちゃけ僕はアメリカのコメディタッチ作品を食わず嫌いするケがありまして。

しかもキャラクターの肌が青かったり緑だったりで、何となく「チープなSF」感を感じて触手が伸びなかったんですね。

しかも公開当時はこのシリーズがMCUに関わることすら知りませんでしたw

ということで、正直「インフィニティウォー」のための消化試合くらいの気持ちで見始めたんですが。

なにこれめっちゃ面白い……。

いやあ、想像の遥か上をいく完成度。

自分の中ではMCU中暫定1位じゃないかなってくらいでした。

 

昔のパルプSFを思わせながらも古さを感じさせない極彩色の宇宙。

異様に立ちまくるキャラクターの個性。

くだらなくもハイセンスすぎる笑い。

どう考えてもアンマッチなのになぜかマッチしすぎる80年代の名曲たち。

観る前に食わず嫌いしていた部分がほとんどそのままよかった部分としてあげられてしまう。

 

キャラが良すぎ

特に好きだったのは青顔のオッサン、立木文彦の声が宇宙一似合う男ヨンドゥですね。

北斗の拳なら真っ先にひでぶされそうな見た目なのに、なんですかあの出鱈目な矢みたいな武器は。

まるで群衆の写真集に子供が線で落書きするような、とにかく理不尽な殲滅力に驚きました。

あのシーンで一気に好きなキャラに躍り出ましたね。

「リミックス」でも矢のアクションはたっぷり堪能できました。

 

それからアライグマのロケット。

イケメン。

1ではまだマスコットっぽい可愛らしさも見せていましたが、リミックスではグルートの保護者という立場もあって完全にイケメン化。

またデタラメに強いし機械にも明るいで頼れるんですよ。

ついて行きたくなるアライグマですね。

 

グルートは1とリミックスでほぼ別人扱いですが、チビグルートが異常に可愛い。

性格が元のグルートと全然違うのが面白いですね。

エンディングでグレてたのが気になりますがw

原語の声はなんとヴィン・ディーゼル、吹き替えが遠藤憲一という豪華さですが、なんとチビグルートもエンケンさんのままなんですな!

どうりで声がキモカワだったわけで。

 

冒険の舞台が良すぎ

このシリーズの魅力の一つは、文字通り宇宙を股にかけて色々な星が舞台になるところですね。

特に「天界人」という巨大な種族の遺骸がそのまま遺跡となった「ノーウェア」は圧巻。

またリミックスで訪れる「エゴ」の星の風景は、「イバラードの世界」を彷彿とさせる極彩色の楽園です。

 

物語が軽快

物語も、何気に重いテーマを扱いながらあくまで軽快に進むのが気持ちよかった。

これ、今流行りのポリコレとは真逆のスタンスながら、実は究極のポリコレ作品なんじゃないでしょうか。

みんなちがってみんないい、しか許されないなんてことはなく、キャラクター達はお互いの外見を馬鹿にしたり気にしたり遠慮なく振舞いますが、それでも仲間であることには違いないという。

リミックスで、ドラッグスがマンティスのことを散々「醜い、醜すぎる」と正直に伝えながら、しかしそれは罵倒でもなんでもなく、2人の間の絆には何の支障もなかったというのは、ガン監督なりの世界観をもっとも表しているように感じました。

 

ジェームズ・ガン監督解任が残念すぎる

2作見終えた今、返すがえすもガン監督解任が惜しいし、納得もいかない思いです。

経緯をチラ見した感じでは、確かに不適切な言動が昔あったようですが、しかし10年前の、別に誰か特定の人を傷つけたわけでもない、本人も悔いていることを明言している発言です。

どうもトランプ政権をめぐる不毛な言説合戦に巻き込まれ、不要なトラブルを嫌うディズニーの潔癖症が発揮されたという印象です。

言説を見るというなら、この「ガーディアンズオブギャラクシー」シリーズ以上にガン監督の思想を表現した言説もないだろうに。

「ブラックパンサー」で黒人に関する表現の歴史がひとつ進む一方での今回の「ガーディアンズ」の挫折。

アメリカはもう以前の自由の国とは様変わりしてしまったということを実感しますね。